• no.301
  • 米子市公会堂

    • カテゴリー:交流
    • 設計:村野藤吾
    • 施工:鴻池組
    • 竣工年:1958
    • 所在地: 鳥取
    • 米子市制施行30周年を記念して建てられた公会堂で、市民の寄付も建設費に充当された「市民手作りの文化の殿堂」として呼び親しまれる市民の記憶を彩ってきた建築である。交差点角地に建ち、敷地奥にホールを置いて、この後方に接続するように幹線道路に接道して管理棟を配置し、管理棟前を駐車場、ホール前を広場にして来場者と演者の動線を隔てる機能的な配置計画を採る。加えて、迫り上げた客席下部にホワイエを収めて省空間化を図り、ここに現れる柱梁架構に加えて、側壁を吊り構造とするダイナミックな造形美と合わせてモダニズムの建築原理を基調とする。壁面に山陰地方特有の石州瓦を塩焼きタイルに焼成して外装材に用い、ホール棟の側壁と屋根に緩やかに湾曲させた造形を連続させ、後に1960、70年代へと独自の展開を示す村野藤吾の作風につながる過程を伝えることに注目できる。1980年に施された改修でも村野藤吾が関与し、創建時のデザインを損なわないように臨み、かつディテールに新旧の「村野好み」が併存するようになったことも特筆される。
      設備更新の必要性から存廃問題が生じ、さらに耐震強度不足も判明するが、米子市民の1/3に近い署名を集めるなど市民団体による積極的な存続活動が展開された。市が実施した市民アンケートの結果も踏まえて継承されることになり、市民団体が寄せた提言に基づき、村野藤吾の建築意匠を守りながら耐震性能と設備改修を充足する改修が2014年に施された。市民が主体的に関わり継承されてきた事績よりリユースの好例として評価できるものといえる。
    • docomomo選定年度:2026
    構造画像 a
    構造画像 b
    構造画像 c
    構造画像 d