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常滑市立陶芸研究所本館
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現名称:とこなめ陶の森陶芸研究所
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カテゴリー:研究
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設計:堀口研究室(堀口捨己)
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施工:松井建設株式会社
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竣工年:1961
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所在地:
愛知
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やきもののまちという地域性に立脚し,陶芸家育成の中核的役割を担うべく,市の中心の丘に据えられた重要な施設である。建物は,堀口の作庭による敷地を介して常石神社の緑豊かな境内と一体をなしている。かつて伊勢湾台風で多くの倒木に見舞われた境内も,月日を重ねた今は桜の名所にもなり,陶芸研究所を訪れる人々は愛陶家に限らない。施設名サインも含めて創建当時と変わらぬ外観,一切といってよいほど手を加えられていない内部は,まさに奇跡的である。堀口捨己の和風モダニズムの多くが失われてしまった今,意匠のみならず建物機能までもが創建時同様に保たれている当該建物および敷地は,極めて貴重である。加えて,吊り階段や茶室などの数寄の意匠,2 階和室と竹縁から古の窯跡につながっていく借景など,作陶の歴史と和の精神を緻密に組み入れており,設計の完成度は高い。古の窯跡と向き合うモダニズム建築は,陳列室に並ぶ陶芸作品とそれらを守るモザイクタイルの外壁,代々名陶工の家に生まれながら工業製品としての陶業と市政に身を置いた伊奈長三郎の人生とも重なり,時代を超えてありつづけるもの=精神と向き合う場としても貴重な施設である。
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文化財情報:登録有形文化財
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docomomo選定年度:2014
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登録有形文化財:2023