2021年7月1日、ドコモモジャパンは選定038 原邸(原美術館)の解体について以下の声明を発しました。
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原邸関係者の皆様
DOCOMOMO Japan選定038 原邸(原美術館)の解体について
平素は本会活動に御理解、御協力をいただきまして誠にありがとうございます。
この度、本会選定建物である原邸(原美術館)解体中の報を聞くにおよび、声明を公にしたいと思います。
原邸(原美術館)は本会ホームページにあるように1938(昭和13)年に渡辺仁の設計により建てられました。渡辺の他の著名作品(服部時計店:現和光、東京帝室博物館本館:現東京国立博物館本館など)と違って、全体にシンプルでモダニズムの要素が強いですが、外壁全面に貼られた青磁色のモザイクタイル、緩やかに弧を描く平面などにアールデコの要素を感じることができます。戦前の貴重な作品であり、解体は大変残念なことですが、一方で現在まで大切に維持されてきたことに敬意を払いたいと思います。
長らく美術館として運営されてきており、多くの方の関心があり、思い出の場所であったものと思います。しかし御所有者には維持管理にも御苦労があったものと推察いたします。また民間の方の財産権に関わることですので、本会としては解体の責任を問う意図はありません。ただ、可能であれば、部材保存などにより、後世にその価値を伝えることをご検討いただければ幸いです。
幸い、本会理事である熊谷亮平氏によりリビングデザインセンターOZONE発行の機関紙に記事が掲載されていましたので、その内容を添付にて紹介させていただくと共に、記録を残していきたいと思います。
038 原邸(原美術館)
設計:渡辺仁
竣工:1938年
所在地:東京都品川区
一般社団法人DOCOMOMO Japan