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山口銀行本店
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カテゴリー:執務
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設計:圓堂建築設計事務所(圓堂正嘉)
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設計協力等:空調設備計画:早稲田大学井上宇一研究室
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施工:清水建設
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竣工年:1965
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所在地:
山口
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設計者は祇園会館(1958)、盛岡市庁舎(1962)、京王百貨店新宿店(1964)などの作品を残している圓堂政嘉(えんどうまさちか・1920~94)である。圓堂はミースやSOMなどアメリカ建築技術の導入に熱心で、カーテンウォールの外観はそれを想起させるが、当時の完成度の高いデザイン的、技術的探求の結果であり、現代で一般化している様々な規格化や建築技術の開始点にある。1階のエントランスホールは天井高が抑えられ、水平感を強調している。エスカレータで2階に上がると2層吹き抜けの巨大な営業室が現れる。6mグリッドのモデュラーコーディネーションで等間隔に並んだ柱列と照明、壮観な執務空間、その奥上部には中村順平による山口県の物語を描いたレリーフが横に広がり、地域金融の中心である山口銀行の強い印象を与え、現在もモダニズムの象徴的空間が改変されることなく維持されている。本作品は日本建築学会賞(1965)を受賞、圓堂の代表作といえる。日本のモダンムーブメントのマスターピースとして極めて重要である。
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docomomo選定年度:2025