registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築
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283 群馬県立近代美術館
- 磯崎新
- 川口衛
- 磯崎新が1960年代に展開した都市論から離れ、「都市からの撤退」と揶揄されながらも新たに講じた手法論によって1970年代以降の新境地を拓いた建築である。一辺12mの立方体を設定し、これを連結して表層を正方形に分割したアルミパネルとガラスでフラットに覆った(内部の打放しコンクリート仕上げの型枠や内装仕上げに採られた大理石も正方形とする)、観念ひいては形態より構成されたもので、ホールに置いた白大理石張りの造形的な壇、講堂内装に描かれた「スーパーグラフィックス」、22.4度の角度を振って池に張り出したボリュームなど、種々の修辞的手法をもって透明性の高い空間構成を明瞭に認知させることを企図した。平面のみならず断面方向をも規定する立方体という自律性の強いフレームから建築を構築し、機能性や合理性というモダニズム建築を司る本質と異なる理念をもって、その「解体」を試みた。ポストモダニズムを射程に入れた1970年代のメルクマールとなる重要な建築である。
- 1974
- 群馬県高崎市