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registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築
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農林省大臣公邸三番町分庁舎(現:農林水産省三番町共用会議所別館)
- 大江宏
- 大成建設
- 本作はRC造、地上二階地下一階からなる。敷地は山縣有朋の私邸(片山東熊、1885)跡地で、緩やかな斜面に広がる庭を見下ろす位置に建つ。深いバルコニーが描く水平ラインと、軽快に立ち並ぶスレンダーな円柱が特徴的なファサードは、大江らしい繊細なプロポーションをもち、現代の建築では実現し得ない、優れた審美性を有している。バルコニー床の人研ぎ石の目地には硝子が用いられていたり、地下へ下りる階段室壁面にはグラフィカルな塗装が施されているなど、細部まで大江のこだわりが認められる。二階の一部は和室となっており、二つの間が襖を隔ててならぶ。面と線による構成が特徴的な天井は、大江が私淑した堀口捨己の設計手法を想起させる。内部は改修が幾度か重ねられているが、その範囲は最小限に留められており、オリジナルの建築的価値は十分残されている。本作は1950年代の大江の仕事がうかがえるほぼ唯一の作品として貴重である。
- 選定プレート贈呈済
- 1956
- 東京都千代田区