registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築
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203 親和銀行大波止支店
- 白井晟一
- 金子組
- 象徴的なマッシブな外観は、原爆堂計画を彷彿させる静逸な印象を与え、白井晟一の代表作の一つである。柱廊と水盤が大波止通りの喧噪からバンキングホールを隔絶するとともにまちなみに人間的なスケールで共生している。そして、この建築の中核となっている吹抜のバンキングホールは、白井晟一の長崎への鎮魂の思いが詰まっている。銀行としても機能を充足しながら、ゆるやかな曲面のあるバンキングホールは祈りの空間の印象を与える。内外部とも、今では再現できない石、金属といった無垢の素材を大胆にかつ繊細に使い、隅々まで白井晟一の精緻なディテールでつくりこまれた完成度の高い作品である。白井晟一自身が気にいっていた作品とも言われており、近代化やグローバルリズムに拮抗していた白井晟一の思想が込められた貴重なモダンムーブメントである。
- 1963
- 長崎