registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築
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208 熊本県立美術館
- 前川建築設計事務所(前川國男)
- 間組
- 当美術館は熊本城二の丸公園に隣接する立地から、展示室や収蔵庫といった美術館本来の施設のみならず、ロビー、喫茶室、講堂、多目的室なども擁し、県民が集う場として多彩な役割を果たしている。熊本城天守閣との調和を考慮し高さを低く抑えられ、炻器質タイルで覆われた外観は、その存在を熊本城天守閣の「従」たらしめることに成功しているが、中に入れば、大屋根を支える格子梁、杉板の型枠の模様が美しい円柱、2色網代張りの床タイルなど、前川國男オリジナルの工法の集大成というべき造りとなっている。オリジナルデザインの灰皿、くずかごや家具も多く残されており、これらを合わせて当美術館の価値は非常に高い。 また、当美術館は平成28年熊本地震による二度の震度6を経て特段の損傷がなく、その設計や施工方法の正しさを証明した作品でもあり、日本におけるモダン・ムーブメントの完成形として、さらにその評価が高まっているものである。
- 1977
- 熊本