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registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築
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- 野中卓
- 佐藤組
- 野中建築事務所は熊本県第 1 号の建築士事務所として設立され、現在に至るまで 90 年間、熊本県内に 500 件を超える建物を設計してきているが、熊本の気候や風土を知り尽くした同事務所が「熊本の気候に適った工法である」との確信をもち、以後断続的に設計してきたHPシェル構造(貝殻構造)の建築の代表作が、本作である。 野中建築事務所が設計した建物には、老朽化や道路拡張を理由に解体されたものも少なくないが、HPシェル構造の作品で解体されたものはわずかで、特に本作と同年に竣工した作品が全て、築 55 年を迎えた現在も竣工時と同じ用途で使われ続けている事実が、同事務所の確信が正しかったことを証明している。 また、シェル屋根の支柱が並ぶ外観は端正かつ個性的で、建築に関心がない市民にもその独特な存在感が認識されている作品も多くあり、同事務所が長年地域に注ぎ続けている想いは確実に伝わっている。 本作は、日本におけるモダン・ムーブメントの最盛期において、「風土は市民である建築家の心の中に溶け込んでいるわけで、それが本当の地方性であり、地方の建築は地方の設計者がやれるようになれば一番いい」と語っていた野中卓が、その想いを名実ともに実現した、地域オリジナルのデザイン・工法による渾身の作品であり、全国的にも貴重なものであるといえる。
- 1965-1966
- 熊本