registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築
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252 水戸測候所(現:水戸地方気象台)
- 堀口捨己
- 清水組(現:清水建設)
- 水戸測候所は1935(昭和10)年、水戸市鉄砲町(現:金町1丁目)に建設された気象観測施設で、設計は堀口捨己(1895-1984)によるものである。堀口は神戸気象台(1931)、大島測候所(1938)などいくつかの気象観測施設を設計しているが、現存例としては唯一である。建物はRC造平屋、面積約366㎡、玄関先に高さ12mの観測塔が象徴的に据えられている。初出誌『国際建築』(1935.10)において堀口は「現代鉄筋混凝土様式」としている。二年間の実験により決定された壁厚、日射を遮る庇、屋上防水にエキスパンションジョイントを設けて伸縮逃げを確保、藤井厚二の研究を基に天井裏と床下をダクトで連絡して換気を行うなど技術的革新性も与えている。2011年の東日本大震災により、施設は大きな損傷を受けたが、幸い堀口の設計した部分は比較的軽微な被害だった。木造付属棟などは解体されたが、藤岡洋保の監修のもと、オリジナルに配慮した保存再生が行われている。
- 1935
- 茨城県水戸市