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registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築
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- 建設省近畿地方建設局(片山光生)
- 奥村組
- 奈良県庁舎は名勝・奈良公園に隣接し、登大路を挟んで興福寺と向かい合う歴史的環境にある。戦後、旧県庁舎(長野宇平治,1895)の老朽化が問題となったことから県は隣地に新庁舎を計画し、設計を建設省近畿地方建設局に委託した。設計担当の片山光生は高層の主棟を敷地北側に配置し、低層の警察棟と議会棟を東西に据え、中庭を囲んで回廊でつないだ。回廊型の配置計画は寺院の伽藍配置に着想を得たもので、大規模庁舎が周囲に与える影響を和らげつつ、道路の喧騒から静かな執務環境を守っている。登大路に面した回廊は150m以上の都市的スケールを持ち、県民や観光客の憩いの場として開放されている。時折、鹿が回廊を通り抜けて中庭を散歩する光景はユーモラスでほほえましい。建設当時、風致地区における庁舎建設は景観論争を巻き起こしたが、現在では古都の風景と県民生活にすっかり溶け込んでいる。県庁舎の周辺には、同じく片山の設計により奈良県文化会館(実施設計:(株)日建設計,1965)、奈良県立美術館(1972)が整備され、県庁舎と一体的な建築群を形成していることも特筆すべき事項である。
- 1965
- 奈良