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registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築
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- 佐藤武夫
- 清水建設
- この建物は、柱と梁を組み合わせたラーメン構造を強調したモダニズム建築の典型的なものでありながら、基壇や屋根を強調したヨーロッパの古典主義建築を彷彿とさせる三層構成を持ち、さらに格子状のデザインや寺院建築の本殿を彷彿とさせる和風のデザインをも併せ持つ。それはモダニズムが問い直され、曲がり角に差し掛かった 1960 年代後半の時代性をよく表すものである。 また、庁舎建築として見ても、1950 年代から 60 年代の典型的な庁舎建築の特性を保ちながらも、シンボリックな建物や高い時計塔を組み合わせ、建物を内部で 3 棟に分けてその間に吹き抜け空間を設けたり、最上階から琵琶湖に面した展望室を備えたりするなど、独自の庁舎建築の空間となっている。大津という歴史と自然に満ちた環境に対する、佐藤ならではの回答を読み取れる。時代性と地域性、そして典型性と固有性をすべて兼ね備えた、大変優れた建築であると位置づけられる。 2015 年頃から耐震改修が大きな課題となっているようであるが、当該建物の歴史的文化的価値を十分踏まえた改修を行い、今後も活用し続けることが望ましい。
- 1967
- 滋賀