registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築
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251 多摩聖蹟記念館(現:旧多摩聖蹟記念館)
- 関根要太郎建築設計事務所(蔵田周忠)
- 大倉土木(現:大成建設)
- 明治天皇の行幸を記念し、伯爵田中光顕を中心に地元からの土地提供及び寄付によって1930年(昭和5年)に実現したプロジェクトである。設計は、銀行建築等の実績のあった関根要太郎、担当者は分離派建築会で活動していた蔵田周忠。計画は、1928年(昭和3年)よりはじまっており、初期の計画案(スケッチ3枚、平断各1枚)が残されている。当初は正方形の列柱空間や大階段、伸びやかなキャノピーなど壮大な計画だったが、実現した記念館は、規模を縮小し北側の列柱側から階段でテラスに上がり中央の楕円の展示室に正面から入る計画となっている。外観はシンプルにまとめられ装飾は無い。大きな特徴は列柱に囲まれた楕円の展示室である。関根要太郎、蔵田周忠の二人がかかわった作品で現存するものは、唯一この作品のみであり、特徴的な楕円平面の近代建築は事例が少なく、日本のモダニズムの導入過程を評価するうえで価値のある作品だと考えられる。
- 1930
- 東京都多摩市