registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築
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176 内藤多仲邸 (現 内藤多仲博士記念館)
- 木子七郎(構造設計:内藤多仲、設計協力:今井兼次)
- 清水組
- 内藤多仲邸は、技術的側面において、日本で始めての「壁式鉄筋コンクリート造」を採用した住宅として、その技術的先駆性が評価できる。また、その背景における関東大震災と、その後の建築界が歩んだ「耐震」「耐火」を体現する建築でもある。構造家の自邸として、実験的な取り組みを施した建築であるが、他の事例と比較して特筆にあたいする点は、その審美性にある。機能主義・合理主義へ偏重しがちな「実験住宅」において、内藤邸はあくまでも、そうした構造的な取り組みを、前面には押し出していない。このことが、若松町という文化レベルの高い住宅地においても、その審美性において引けを取らず、現在まで大事にされてきた所以であると考える。本邸宅は、現在早稲田大学が管理を行っている。日々の管理や、定期的な修繕もあり、非常に美しい状態で残されてきた。今後の積極的な活用が望まれる。
- 選定プレート贈呈済
- 1926年
- 東京