10月23日(木)「塩野義製薬中央研究所本館(塩野義製薬研究所)」(坂倉準三建築研究所・西澤文隆設計、竹中工務店施工)の見学会が行われた。1961年大阪市福島区に建設され、近年まで中央研究所として使用されていたが、現在は豊中市の医薬研究センターにその機能が移り、その敷地と建物が売却されることとなった。塩野義製薬株式会社より、売却先においては建物保存の計画がないことから解体が予定されるとのご連絡をいただき、当初より維持管理を行っていた塩野義製薬総務部課長平木重成氏らの案内で見学会が行われた。 本館は、ル・コルビュジェのモジュロールが用いられたブリーズソレイユ(遮光庇)が印象的なコの字型の建物である。繊細で軽快な階段、使い勝手と安全にこだわった実験室など、細部にまでこだわった設計に見学者の多くから感嘆の声があがっていた。群青色の床や外観、朱色の天井やエレベータドアなど色彩も美しく、建物の繊細さとは相反して、何とか残したいと思わせる力強さを持った建物であった。 見学会の最後には、塩野義製薬株式会社からドコモモジャパンに、竣工写真・図面・スケッチからなる「竣工時記録」と記録写真集「From 1961 to 2014」が寄贈された。非常に貴重な記録であることから、多くの方の目に触れるような形で保管したいと考えている。 (文責:亀井靖子)