drugs online
registration 日本におけるモダン・ムーブメントの建築
-
- 坂倉準三建築研究所(井上堯・小室勝美・田代作重・阿部勤・大庭明・坂本和正)
- 大成建設(吊り屋根工事は住友建設)
- 佐賀県体育館(現市村記念体育館)は、1963年、リコー三愛グループ創業者で佐賀県出身の市村清氏により、佐賀県民の体育・文化の振興を目的に佐賀県に寄贈された施設である。ジグザグ状の折板で壁をつくり、その中に鞍型のHPシェルの吊り屋根を組み合わせた構造で、正面からは王冠、側面からは鞍形を思わせる外観を誇る。吊り屋根の東西中央両端から地面に向かって斜めに突き出た梁が、雨水を地面に導く樋の役割も果たしており、外観の個性を更に際立たせているほか、壁や床のタイル、木製の滑らかな階段手摺等、坂倉ならではの意匠が数多く残っている。 築60年が経過し、施設の老朽化及びスポーツ施設に求められる規模が不足することから、体育館としての用途は廃し、「文化体験・創造の拠点」として活用することとされ、今後、耐震化、屋根の軽量化、用途変更に伴う内部のリニューアル等にかかる改修工事が、「歴史的建物としての価値を壊さない形で保存する」ことを念頭に行われる予定。「郷土の偉人による寄贈」というバックボーンはあるものの、施主である佐賀県が作品の価値を十二分に理解し、真摯に保存活用の道を模索された結果、用途は変更されるものの竣工時の意匠の保護に最大限配慮したうえで改修されることとなった、稀有な事例である。
- 1963
- 佐賀